8.工務店の「正しい」選び方
自分にあった工務店を選ぶにはどうしたらいいでしょうか?
具体的な打合せに進んで提案を見てみたいのは分かりますが、星の数ほどある工務店を手当たり次第に検討しても、ただ時間が過ぎていくばかりです。最終的な1社を決める時になって、結果的に「価格の安さ」だけで選んだことにしかなりません。
これでは、本来は重要だったはずの「大きなルーフテラスが欲しい」、「地域に根差した会社で建てたい」、「好みの内装にしたい」といった目的がおざなりになってしまいます。
本来の目的をおざなりにしないためにも、プランや見積りの提案を受ける前に、その工務店の特徴が計画内容にマッチしているかどうかを検討するプロセスが必要です。
そこでお勧めなのが、1社1社を横一列に比較するのではなく、「逆三角形を描くイメージで、何段階かのフィルターにかけていく」ように、工務店を絞っていく方法です。
第1のフィルター「工務店の財務状況」
まず最初のフィルターは、「工務店の財務状況」です。
これは、工務店の特徴が計画内容にマッチしているかを検討する以前に、必ず見極める必要がある最重要ポイントです。いくら人柄のいい社長さんでも、どんなに技術力が高くても、倒産してしまっては何にもなりません。
しかし、工務店の財務状況は一般に広く公開されていないため、建て主が知ろうと思ってもたやすく情報を入手することはできません。
そこで1つの指標となるのが完成保証への加入です。
完成保証は一定の経営水準を満たしている工務店だけが加入できる制度で、万一、その工務店が建築中に倒産しても別の工務店が工事を引き継いで住宅の完成させてくれるなど、施主の損害を最小限に留めるための保険です。
健康ではないと生命保険に入れないのに似て、保証会社は倒産リスクの高い工務店に対して完成保証をつけることはありません。
まずは何より、その工務店が一定の経営水準を満たしているかどうかが最重要な指標です。
第2のフィルター「価格帯」
次のフィルターは、「価格帯」です。
「ハウスメーカー」の価格帯は坪単価80万円台から90万円台という一定の幅に集約されますが、「工務店」の場合は数も多く、その特徴も様々です。それだけに、同じ「工務店」とは言っても、価格帯は坪単価50万円台から100万円を超える会社まで幅広く分散しています。
どなたにとっても予算は最重要な要件になるはずですので、ご自身の予算に照らした時に、どの価格帯の工務店を中心に検討するかを考えてみましょう。
第3のフィルター「工務店のタイプ」
次のフィルターは、「工務店のタイプ」です。
その工務店をハウスメーカーと建築家を両極に置いた時に、どこに位置する特徴を持っているのかを見極めてみましょう。
「工務店のタイプ」を見極める1つの方法として、その工務店の社長の経歴や考えを聞くことがあげられます。注文住宅を手掛けている工務店の多くは、ハウスメーカーに比べて小規模な組織です。社長の考えがダイレクトに反映されやすく、社長の経歴が少なからずその会社の家づくりに現れます。
最後に確認!「プランと見積り」
そしてようやくここで「プランと見積り」です。
これまでのフィルターで確認した結果が、そのままプランの提案内容や見積りに現れるはずです。そういう意味では、プランと見積りは、それ以前で検討してきたことを確認するプロセスとも言えます。
最後は、最終的な条件面や金額の調整をして1社に絞ります。
工務店は数が多く、その特徴も様々なため、ピンポイントに1社を探し当てようとすると、膨大な時間と労力がかかってしまいます。「逆三角形のふるいにかけて、1社に絞り込んでいくイメージ」を持つのがお勧めです。