8.工務店の「正しい」選び方
自分に合った工務店を選ぶにはどうしたらいいでしょうか?
「まずは打合せして提案を見たい」と思う方も多いですが、星の数ほどある工務店を手当たり次第に検討しても、時間ばかりかかり、最後は「価格の安さ」だけで選んでしまうことになりがちです。
それでは、本来重視していた「大きなルーフテラスが欲しい」「地域に根差した会社で建てたい」「好みの内装にしたい」といった目的がおざなりになってしまいます。
こうした失敗を避けるためには、プランや見積りをもらう前に、工務店の特徴が自分の計画に合っているかを見極めるプロセスが必要です。
おすすめは、逆三角形を描くイメージで、何段階かのフィルターにかけて絞り込む方法です。
第1のフィルター「安心できるか」
まず確認したいのは、工務店との契約が安心できるかどうかです。
最低限の安心は法律で担保されています。新築住宅では、構造耐力上主要な部分(基礎・柱など)と雨水の浸入を防止する部分(屋根・外壁など)について、10年間の保証が義務付けられています。この保証は「瑕疵担保責任保険」によって担保されており、万が一工務店が倒産しても、保険法人が直接対応し、修補工事を行う仕組みになっています。
しかし、問題は工事途中で倒産した場合です。このリスクを減らすために、次の方法を検討しましょう:
・完成保証が利用できるか確認する(加入できる工務店は少ないですが、あれば安心材料です。少ない理由は、加入条件が厳しく、健全な経営が求められるためです)。
・支払い条件を工事の進捗に合わせた出来高払いにする(前払いを減らすことで、万が一のリスクを軽減)。
・ザ・ハウスでは登録基準を設け、財務内容を確認した工務店のみをご紹介しています。この点は大きな安心材料です。
第2のフィルター「価格帯」
次に、予算に合う価格帯の工務店を絞り込みます。
工務店の坪単価は約60万円~120万円と幅広く、ローコスト型ならハウスメーカーより安い場合もありますが、デザインや性能にこだわる工務店では、ハウスメーカー並み、あるいはそれ以上になることもあります。参考までに、大手ハウスメーカーは坪単価約90万円~140万円前後、高級ブランドや特殊仕様では150万円を超えるケースもあります。
第3のフィルター「工務店のタイプ」
最後に、その工務店の家づくりの特徴を確認します。
ハウスメーカーと建築家を両極に置いたとき、どこに位置するのかを見極めることが大切です。社長の経歴や考え方を聞くのも有効です。小規模な工務店では、社長の理念が家づくりに強く反映されるからです。
最終ステップ「プランと見積り」
ここまでのフィルターを通過した工務店に、プランと見積りを依頼します。
提案内容は、これまで確認してきた特徴や考え方が反映されているはずです。最後に条件面や金額を調整して、1社に絞り込みます。
工務店は数が多く、特徴もさまざまです。ピンポイントで1社を探そうとすると、膨大な時間と労力がかかりますので、「逆三角形のふるいにかけて、段階的に絞り込む」イメージを持つことが、正しい工務店選びの近道です。