5.工務店の倒産に備えるには?
「工務店」といっても、従業員が数百名いる会社から、1人の大工さんだけで運営している会社まで、規模には大きな差があります。
もちろん「大きい会社だから絶対に安心」というわけではありませんが、規模が小さいと不安を感じる方も多いでしょう。ただし、建物の保証については法律で整備されており、法人の事業者が請け負う住宅では、
・構造耐力上主要な部分(基礎、柱など)
・雨水の浸入を防止する部分(屋根、外壁など)
について10年間の保証が義務付けられています。
この保証は「瑕疵担保責任保険」によって担保されており、万が一工務店が倒産しても、保険法人が直接対応し、修補工事を行う仕組みになっています。つまり、引き渡し後の重大な欠陥については、工務店の規模や存続に関係なく、一定の安心が確保されています。
しかし、問題は工事途中で倒産した場合です。着手金や中間金を支払った後に工務店が倒産すると、支払ったお金を取り戻すのは非常に困難です。さらに、工事を再開するためには追加費用が必要になり、結果的に当初の建築費を大きく超える資金が必要になることもあります。
こうしたリスクを避けるために注目したいのが「完成保証」です。完成保証は、工事途中で工務店が倒産した場合に、施主の損害を最小限に抑えるための保険制度です。ただし、現状では完成保証を利用できる工務店は決して多くありません。そのため、工務店選びの際には「完成保証の利用が可能かどうか」を、安心材料のひとつとして確認することをおすすめします。
そして、完成保証が利用できない場合には、支払い条件を工事の進捗に合わせて出来高払いにするなど、前払いを減らす工夫が重要です。こうした契約条件の工夫によって、万が一のリスクを軽減できます。